モデルケースの確認
前回の記事はこちら。下のモデルケースの家庭で給料・退職金・年金で主となる収入を計算していきました。
- ①ご主人様(35歳)大卒~65歳まで勤め上げて定年退職予定
- ②奥様(32歳) ご主人様と同様
- ③長女(3歳)
- ④長男(0歳)
ただ、収入はいわゆる額面となりますので、実際に手元に入ってくる金額、すなわち手取りではありません。給料明細を見るとわかると思いますが、源泉徴収といいますが勝手に色々な項目で天引きされているものがありますね。ここからは実際の手取り金額を計算していきます。
収入から引かれるものは主に6つ!
額面から手取りになるまでに社会保障費やら税金を差し引かれていきます。主だったものをピックアップしていきます。
- 健康保険(個人事業主・フリーランスの方は国民健康保険)
- 介護保険(40歳~健康保険に上乗せ徴収)
- 厚生年金(個人事業主・フリーランスの方は国民年金)
- 雇用保険
- 所得税
- 住民税
これらは、基本的には必ず天引きされてしまいますが、一定以上の年収でなければ健康保険・厚生年金は加入必須ではありません。(いわゆる年収の壁)パートタイマーの妻であれば、健康保険は被扶養者として、国民年金は配偶者の第3号被保険者として保障されますので(今後は制度が続くかは不明・・・)加入していない方も多いかもしれません。
ちなみにこれ以外でも例えば組合費などの名目で天引きをされている方も多いかもしれませんが、そちらについては公的なものではなく団体活動費といった名目で天引きされているだけですのでここからは除外していきます。
健康保険・介護保険・厚生年金保険料の金額は?
健康保険・厚生年金等については加入している健保組合の保険料率に左右されますが、ここでは一般的なものとして全国健康保険協会(全国健保)の料率で計算してみます。これも実は都道府県によって多少率が変わりますが大きくはかわりません。
令和五年全国健保出典:全国健康保険協会「令和5年度保険料額表(令和5年3月分から)」
40歳以上で介護年金を支払っている場合であれば11.82%(介護保険を除くと10%)、厚生年金は18.3%、まずは約30%の金額が給料から引かれていきます!
・・・というのは半分本気で、半分は冗談です。実際には原則会社と折半で支払いとなりますので、自分の給料から負担しているのはこの半分、約15%くらいですね。ただし、会社としてはこれも含めて給料を考えるわけですから、実質的には負担をしているのはどちらなのか。結果的には自分で負担をしているという考え方もありますが、決して間違ってはいないのではないかと思います。
これをモデルケースの家庭であてはめていきます。下記にも貼っておきますが、この家庭のご主人が38歳(年収:549万)、奥さんが35歳(年収:333万)のタイミングの世帯年収は合計882万円です。これを計算していくと
健康保険料:882万円×保険料率10%×1/2(折半分)=44.1万円
厚生年金保険料:882万円×保険料率18.3%×1/2(折半分)=80.7万円
これを月額になおすと、10.4万円/月の支払いですからかなり支出額が大きいですよね。ちなみに、この金額を全て集めた2023年度予算が77.5兆円にもなりますが、社会保障給費の総額は134.3兆なのでこれでもまるで足りていません。でも年金・医療制度が釣り合ってないのでそれだけ大きな社会保障が日本では支出されています。
余談ですが実は健康保険料率については、一部の大企業はかなり保障が手厚くなっておりいいサイトを見つけたのでご紹介します。詳細はリンク先をご確認いただければですが、私はこれを知って嫉妬で気が狂いそうになりました。(笑)
付け加えると、いざという時の給付金額も付加給付というものがあり、公的保障に上乗せ保障を付加して手厚くカバーしてくれているケースも多いです。自分の会社どうなっているかを確認したい場合は調べてみてください。
雇用保険の金額は?
雇用保険については大きな金額ではないですが、こちらも事業主負担と労働者負担で分かれており、一部給料から天引きされていきます。
令和五年度雇用保険一部の業種については危険職種として利用の可能性が高いというくくりで率が多少高くなりますが、一般的な職種の率は労働者負担が0.6%、事業主負担込みで1.55%です。これを計算していくと
雇用保険料:882万円×労働者負担分保険料率0.6%=52,920円
月額になおすと4,410円/月となります。二人含めてだと思ったより大きいですね。
所得税・住民税の金額は?
ここまでは保険料の計算でしたが、最後は税金の計算です。実はここまでの計算とは少し計算が変わります。今までは収入から直接保険料率をかけて、それが天引きされる金額でしたが、税金の計算は所得で考えていきます。収入と所得の違いはなんでしょうか。
一般的なサラリーマン(給与所得者)の場合、11月ごろになると年末調整のための書類の記入を会社から求められると思います。自分が払っている保険の保険料控除証明書を添付したり、扶養の家族を記入したりしているかと思いますが、実はあれを使って収入から控除してよいものを差し引いて所得を計算していきます。所得とは税法上では「収入から必要経費を差し引いたもの、つまりもうけのこと」を指すそうです。
サラリーマンには必要経費があるの?と感じるかもしれませんが、誰にでもかかる基礎控除や給与収入から一定の給与所得控除が認められていますし、民間の保険料の一部や、扶養家族にかかる控除も認められています。上に挙げていった健康保険、厚生年金、雇用保険も社会保険料控除として収入から差し引いてよいことになっています。
この辺りは一つ一つ見ていくとそれだけで大きな記事になってしまいそうなので、いつか別記事に挙げて詳細は省きますが、収入から必要経費として認められるものを差し引いた所得に対して税金が課せられることになります。
今回のモデルケースでは特別な控除(民間の保険料控除、寄付金控除等)は考えずに、基礎控除や純粋な給与から給与所得の控除、社会保険料控除を計算にいれて税額を出していきます。
ご主人の給与収入:549万円×給与所得控除額153.8万円=給与所得395.2万円
これが実際の給与(収入)から必要経費(給与所得控除)を差し引いてもうけたお金(給与所得)となります。ここからさらに基礎控除、社会保険料を控除していきますので、
給与所得395.2万円-基礎控除48万円-社会保険料ご主人分81万-=266.2万円
このようになりました。これがご主人にかけられる所得税・住民税の所得(もうけ)になります。これに所得税の計算はこちらに記載がありますが、住民税は税率10%となります。すると
所得税=16.9万円、住民税26.6万円となりました。
これを今度は奥さんの方に当てはめていくと、細かい計算は省きますが、
所得税=6.4万円 住民税=12.8万円となりました。
ここに書かれている以外にも税金については細かい計算がありますので、ざっくりでこれくらいというイメージで見てもらえればと思います。そうすると、年間で62.7万円の負担、月額になおすと、約5.2万円程度になりました。
最終的な手取りの金額は?
ここまで計算をしてきましたが、税金が絡むと一気に計算が煩雑になりますね・・・。でもこれで世帯年収の収入から手取り収入の計算ができるようになりました。このモデルケースの家庭では
世帯年収882万円(73.5万円/月)-社会保険料・厚生年金124.8万円(10.4万円)-雇用保険料5.3万円(0.4万円/月)-所得税・住民税62.7万円(5.2万円/月)=手取り689.2万円(57.4万円/月)
天引きされる税金・保険料の総額は192.8万円となります。非常に大きな金額ですね。実際手取りが自分達で使えるお金になりますから、月57万円(ボーナス込)でやりくりが必要となります。
ライフプラン表に落としこむ
はい、それではこれらをライフプランに落とし込んでいったものがこちらになります。
収入収入、保険料、税金が落とし込まれていると思います。保険料、税金が微妙にシミュレーションとはずれていますが、ここでは細かい計算を省いてますのでこちらのシミュレーションがかなり近いのではないでしょうか。
以上で、収入編は終わりとなります。収入については国の制度で決まってますので、収入に対しての税金・保険料は決まってますが、支出についてはそれぞれの家庭の生活スタイルでかなり多岐に分かれてくるかと思います。次回以降はどのような生活スタイルを思い描いているか、自分自身に当てはめて考えてみてください。
コメント